2009年08月21日

いつもいつもマイナーなネタですいません。

プログラミング言語 C 第2版の、奇妙な記述が気になりました。
「付録 C 変更点の要約」より引用。

・誰もが好きなつまらぬ変更:8 と 9 は 8 進数ではない。(p.328)

あまりにもさらっと書かれていますが、意味不明です。当たり前では ?

実は当たり前ではなくて、UNIX のアセンブラでは、8 と 9 は、8 進数の 10 と 11 として扱われていたんですね… いやはや。

「UNIX Assembler Reference Manual, Dennis M. Ritchie」
http://www.tom-yam.or.jp/2238/ref/as.pdf
An octal constant consists of a sequence of digits; ‘‘8’’ and ‘‘9’’ are taken to have octal value 10 and 11.

UNIX v6 以前のアセンブラの奇妙な習慣が、K&R の第1版まで脈々と続いていたわけです。UNIX と C の歴史は、こういうのがけっこう多いです。

2009年08月19日

PowerPCにはCPUのクロックサイクルでカウントアップされるタイムベースレジスタというカウンタがあります。これを利用して簡単にプログラムの2点間の時間を計測することができます。

ある関数を複数の方法で実装して、どちらが速いかを比較する場合に便利です。

手軽に使えるようにソースコードを一つのヘッダファイルにまとめてみました。

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2009年08月17日

MIT の教育システムは本当にすごいですね。

xv6 という、MIT の OS の講義のために、UNIX v6 を ANSI C で書き直して、x86 マルチプロセッサシステムに移植したものが存在することを、ひらさんの twitter で知りました。

wikipedia がよくまとまっています。Lions 本のように、読みやすくソースコードが編集された PDF へのリンクもあります。OS のソースコード全部で、たったの 75 ページと、非常にコンパクト。

http://en.wikipedia.org/wiki/Xv6

他にも MIT は、初級計算機科学の講義のために書かれた SICP (日本語訳 : 計算機プログラムの構造と解釈)などでも非常に有名です。(こちらは Scheme でプログラムが書かれています。)どちらも講義資料 full text が全て無料で読めるというのが、なんとも太っ腹ですね。

私がけっこう前から、のんびりと pre K&R C のコンパイラを趣味で書いてる動機の一つとして、最小限の変更で UNIX v6 を x86 の上で動くようにしたいというのがあるのですが、既に完全 ANSI C リライトまでやられていたとは… いやはや、脱帽です。

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2009年08月14日

ARM11のCP15にパフォーマンスモニタがあり、そのサイクルカウンタを利用して簡単にプログラムの2点間の時間を計測することができます。

計測用の関数を手軽に使えるようにソースコードを一つのヘッダファイルにまとめてみました。

ある関数を複数の方法で実装して、どちらが速いかを比較する場合に便利です。

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2009年08月12日

山本先輩からコラムを1本いただきました。ありがとうございます。




元々、ミステリーが好きでよく本を読んでいたのですが、最近本の読み方が大きく変化しました。
実際には、物理的な本は読まずに、T-01A(ドコモのWindowsモバイル携帯)を使って読書しています。

T01-A続きを読む

2009年08月10日

C99 の規格が成立してから 10 年が経つわけですが、VC++ 2008 では ANSI C89 (ISO C90) までしか対応しておらず、C99 は未対応のようです。

次期の VC++ 2010 でも状況は変わらないようです。(ベータ版のマニュアルですが。)

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/02y9a5ye(VS.100).aspx

やはり C# や .NET をプッシュする Microsoft 的には、OS の根幹を支える C++ はともかく、いまさら C はどうでも良いという扱いなのでしょうか。KMCでは、現在でも C はバリバリの現役なので、少し寂しいところです。

ちなみに VC++ にも、GCC と同様に独自の拡張機能が含まれており(ただし、GNU C のような派手な (?) 拡張は存在せず、独自の解釈的な拡張が多いようです)、/Za で ANSI C/C++ と互換性の無い機能を無効にできるそうです。(GCC の -ansi -pedantic 相当。)

「/Za、/Ze (言語拡張機能の無効化)」
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/0k0w269d.aspx
「Microsoft C/C++ の拡張機能」
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/34h23df8.aspx

VC++ の拡張機能を有効にする /Ze オプションは、VC++ 2008 で付けると「cl : コマンド ライン warning D9035 : オプション 'Ze' の使用は現在推奨されていません。今後のバージョンからは削除されます。」という警告が出ます。

2009年08月07日

2009年08月07日

少し前の話になりますが、いただいたコメントをきっかけに、puts になぜ改行が付くのかというネタについて調べていた時、面白い論文を教えてもらいましたので紹介します。

"C and the AT&T Unix Port -- A Personal History", Stephen C. Johnson (翻訳)
http://roguelife.org/~fujita/COOKIES/HISTORY/USENIX/johnson.html

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2009年08月05日

AndroidのSDKではgoldfishという仮想ハードウェアをqemuで動作させています。この環境は実際のハードウェアがなくても動作させることができるのでとても便利です。goldfishはCPUがARMv5TEアーキテクチャのarm926なのですが、これをARMv6アーキテクチャのarm1136に置き換える実験をしてみたところ意外にすんなり動きました。

その手順をここで紹介します。

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2009年08月03日

また pre K&R C の話です。

pre K&R C の時代は、return 文が取る式を () で囲むことが文法上必須でした。その時代の習慣を引きずったためか、K&R (第1版) でも return 文の後の式を括弧で囲っていたようです。(私は第2版しか所有していないので確認できないのですが。)

そのため、今でも括弧を付ける人もいるようです。一方、括弧を付けると return を retuan のようにタイプミスした時に関数呼び出しとして解釈されてしまい、コンパイルエラーにならない(リンク時にはエラーになる)ために良くないと主張する人などもいるようです。いずれにせよここらへんの話は、IDE やエディタがキーワードをハイライトしてくれるようになった現在では、好みの問題の範囲と言えるでしょう。

http://www.math.utah.edu/computing/compilers/c/Ritchie-CReferenceManual.pdf
return ;
return ( expression );

しかし、そもそも私には、この () が pre K&R C で必須だった理由がわかりませんでした。最後に ; が必須なのですから、この括弧があることにより、特にパーシングに対して有利ということもありません。続きを読む

2009年07月31日

KMC のデバッガを一番使っているのは、実は KMC の開発スタッフなのかもしれません。
開発スタッフのディスプレイを覗き込むと、常に PARTNER が起動しています。PARTNER でデバッグし、PARTNER からエディタを起動してソースコードを修正し、PARTNER から make を打ち、ロードし、実行する。もはや完全に PARTNER が OS (shell) のような感じになっています。

KMC には、製品は社内で使い込んで十分に揉んでから出荷するという文化があります。マイクロソフトは、このことを 「ドッグフードを食べる」と表現しているようです。

参考 :「マイクロソフトが社員に勧める“ドッグフード”栄養学」
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20060067,00.htm
(私は Joel Spolsky の本でこの言い回しを知りました。)

自分たちで日常的に使うことにより、使いにくいところや不具合を改善していくことこそが、良い製品を作るためには必要不可欠なプロセスだと思います。そもそも、社内の人が難しすぎて使えなかったり、不具合が多くて使ってくれないような製品が売れるわけがありません(笑)まずは社内の人に使っていただけるところまで持っていくのが、製品開発の第一の壁です。

最近 koba さんが、exeGCC のテストプロセスの一部に、私の開発している CPU シミュレータを利用してくださっています。膨大な数の GCC のテストスイートを常に通してくださることにより、シミュレータに対する自信が深まりますし、koba さんも実機に JTAG をつなぐ手間なく、多くの CPU でテストを行うことができるという Win-Win の関係が築けています。大変うれしいことです。

2009年07月30日

私がよく使うgccの -save-temps というオプションを紹介します。

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2009年07月29日

PARTNER(ARM) のマニュアルを編集していた際、mmu コマンドに /T というオプションを見つけました。マニュアルの説明を読んでもよくわからなかったので先輩に聞いてみたところ、これは TCM (Tightly Coupled Memories) という、ARM コアの内部に存在する超高速メモリ (SRAM) を操作するためのオプションなのだそうです。

TCM は、要するに、ユーザが読み書きできるキャッシュメモリのようなものなのだそうです。容量は小さい (10 数 KB ほど) のですが、DRAM の初期化が済んでない状況でも使えるので、開発の初期段階でちょっとデバッガや簡単なプログラムを動かしてみたい時などに重宝するそうです。また、OS などのシステムソフトウェアの高速化の際にも有用です。(こちらの方が一般的な用途。)

TCM は全ての ARM コアに存在するわけではなく、オプション的に実装されるものなのだそうです。あまりアプリケーションプログラマは恩恵を受けられない機能ですし、SRAM は回路が大きくて実装コストが高いため、実装されないケースも多そうです。特殊な用途の TCM よりも、同じ SRAM を実装するならば、より大きなキャッシュを実装してくれた方がうれしい技術者が多いと思います。

しかし、CPU が速くなれば、相対的にメモリアクセスがボトルネックになりますから、シリコンが余ってきた状況ではおいしい場面も出てくるかもしれません。組み込みの世界では、必ずしも絶対性能は重要ではなく、過去のソフトウェア資産やコストパフォーマンスが重要視されます。ARM 9 ファミリーなどの少し古い v5 アーキテクチャもまだまだ現役です。プロセッサの加工技術が向上すれば、同じアーキテクチャを実装したとしても、シリコンの面積が小さくて済むので、どんどんシリコンが余ります。そのため回路の 1 チップ化 (SoC) を進めたり、コアの数を増やしたりしているようなのですが、TCM のような SRAM もどんどん大きくなっていくのかもしれません。

また、iPhone や Android などが普及し、LLVM などの動的最適化技術 (JIT をより一般的にしたような技術)が進歩すれば、プログラマが意識しなくても、勝手に TCM を使って高速化してくれたりとかいう未来が来るかもしれません。

2009年07月28日

定義宣言と参照宣言の話に関連して、実際にこのコードをコンパイルして、変数がどう割り当てられるかをみてみましょう。

v.c

int x;  /* (1) */
int y = 0; /* (2) */
int z = 1; /* (3) */
extern int x; /* (4) */

このファイルをコンパイルしてアセンブラ出力の結果を見てみましょう。

gcc -S v.c
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2009年07月27日

C の規格に関するちょっとした話です。

今まで、extern が付いていない最上位宣言での変数宣言(グローバル変数)は、全て定義宣言になるのだと思っていたのですが、厳密には異なるそうです。
int x;         /* (1) */
int y = 0; /* (2) */
extern int x; /* (3) */

(1) と (2) は、単に初期値が与えられているかいないかだけの違いで、どちらも定義に見えます。

ところが、厳密には (2) だけが定義宣言で、(1) は仮定義という扱いになるのだそうです。続きを読む

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